どうにも届かない過去と、自由になっていく世界

最近までいつでも手が届くと思っていた過去が
ふとした拍子に振り返れば
もう決して手が届かないものだと思い知った
春の新芽の香りも
耳を劈く蝉の声も
少し心細い夕焼けも
凛とした空気と白い息も

近くても遠い
二度と感じることができない

心が壊れてしまいそうだ

もうあまり生きていたくない



そんな悲しみを拭うために

だんだん強くなる自由思考

何も怖くない

自由を邪魔させはしない

そうすることで

少しでも過去を

引き継ごうとする

今日も吸っては吐く春の空気は

あの時のものとは少し違う